環境と人にやさしい革でバッグやサコッシュ、スリッパなどを制作されているレザーブランドsonor。このsonorのpop upを4月29日(木)からIDÉE TOKYOにて開催しています。
子供のための服作りから始まり、趣味としてのものづくりが様々な人との出会いによって今ではお仕事になっているsonorデザイナーの園田明子さん。現在は神奈川県のたまプラーザ駅近くにアトリエを構え、園田啓太さん・スタッフさんと一緒に3人で制作をされています。
過日、ひととの繋がりを大切にされているsonorさんにお話しを伺いました。全5話のシリーズです。
3話目となる今回は、sonorが3年程前に現在の場所へアトリエを構えるまでのお話しです。
●これまでのお話
◎第1話 sonorのこれまで
◎第2話 sonorのこれまで
instagram @sonorsonorsonor
(啓太さん)妻はかなりのお買い物好きなんです。だからか、お客さんとして通っているお店がお取引先になるということもあるんです。通常のセオリーだとバイヤーさん向けの展示会をやって取引先が増えていきますよね。もちろんそれもあるんですけど、普通のコミュニケーションから広がっているので、面白いなって思います。
ここにアトリエを構えたのも結局は人とのつながりから来ているんです。
まず、たまプラーザで活動するようになったのは、お客さんとして入ったLOCAL optical shopさん(ローカル:たまプラーザにあるめがね店)が起点になっています。店主の矢田さん(以下矢田さん)を慕って色々な人が集う面白いお店で、セレクトや接客のセンスを感じるめがね屋さんです。私たちにとって、“ここから始まった”と言えるお店なんです。
(明子さん)
LOCALさんに初めてめがねを作りに伺った時に、いざお会計しようと思ったら、財布を忘れてしまって。それも乗ってきた車をコインパーキングに停めていて、会計するときに、初めて財布を忘れていることに気づいたんです。車にあるんじゃなくて、家に忘れちゃった。車を出すにもお金ないから出せないと思って、どうしようとすごく慌てて、矢田さんに「お金貸してください、私のバッグここに置いていきます」とお願いして、駐車場代だけ貸してもらい、財布を取りに帰りました(笑)
(明子さん)
LOCALさんとはそこからの付き合いです。その後、何かのきっかけで、モノづくりしているって話をしたら、メガネケースを作りたいと声を掛けていただいて、そこから始まったんです。LOCALさんを通して、annabelle(たまプラーザ駅から歩いて5分ほどの場所にある、レディースセレクトショップ)のことを知り、annabelleさんに初めて行ってみると、レディースのみの取扱いなのに男性2人でやられている、ちょっと変わった洋服屋さんだけど、セレクトと接客がとても魅力的なお店で、かなりのインパクトを受けたのを覚えています。それから通っているうちに、店主の伊佐さん(以下伊佐さん)から「園田さんって何をやってるの?」って聞かれて、革モノを作っているんですって話をしたんです。
それがきっかけで、革のルームシューズを依頼頂いて。お作りしたルームシューズの履き心地を喜んでもらえました。その後、伊佐さんから「思いつきと自由な発想で実験的な商品作りをしてみたい」と話を頂いたことで、annabelleさんとの合作のかばん作りが始まりました。
sonoというブランド名でやっています。商品名もsonorとは違っていて、「sono1、sono2、sono3…」っという名前になっていて、4年程経った今はsono10まで来ています。3年程前に、伊佐さんから「同じビルの3階に空き部屋が出たのでどうですか?」と声を掛けて頂きました。
(啓太さん)
妻が「入ろっかな」と悩んでいたので、ほんと?はいるの?家賃払えるの?って話をしたんです。
(明子さん)
考えてはいるんですけど、やってみなきゃ分からないので。ただ、自宅でやっていた今までよりは頑張らなきゃとは思いました。
(啓太さん)
入居したことでメリハリができました。自宅だとどうしても時間の区切りがつかないし、お客さまを招くこともできない、こうして取材をお受けすることもやりづらかったと思います。やっぱり入居してよかったですね。
(明子さん)
いつも私がなにかやろうとすると、「えっ」って言われるんです(笑)
(啓太さん)
妻にはいつもにネガティブって言われます。(笑)
(明子さん)
そのネガティブに打ち勝つように頑張るんです、反対されても。
(啓太さん)
こういう風にネガティブに言う人間がいないと、どこまでも突き進んでいくんですよ。
(明子さん)
ふわっと飛んでいきそうって言われます。夫には地に足をつけてもらっています。
―10年以上続けてこられた中で1番思い入れのある商品は何ですか?
(明子さん)
ルームシューズとスリッパですね。作る工程もパーツも多くて大変ですし、たくさん出たりする商品ではないんですけど、履き心地が良くや豚革の特性を生かせているものだと思います。大変だからやめようと思ったこともあるけど、一番はじめに革で作ったものなので、その点ですごく思い入れがあるんだろうなと思います。
(啓太さん)
すごく大変なんですよ。何回もひっくり反す作業があるので。
(明子さん)
革自体の厚みもあって、反すのにすごく力がいるので大変です。摩擦で指をやけどしたりとか、腱鞘炎みたいになったりとか。だから「数を多く作るものじゃないな」という気持ちは正直あるんですが、ずっと愛用してくださっている方もいて嬉しくて、そういう点もやめられない理由です。
<つづく>
普通のコミュニケーションから広がっていったsonorのものづくり。人とお話しするのが好きな明子さんだからなのか、「やってみたい」を実際にやったからなのかと考えましたが、きっとその両方なのでしょう。次回は地に足をつけながら実現したいことを現実のものにしていくsonorというブランドの“いま” についてお話しを伺います。
●つづきのお話
◎第4話 sonorのいま
◎第5話 sonorのこれから
*sonorの商品は以下からご覧いただけます
○CORONシリーズ
○革のリュックとトートバッグ
○革のサコッシュとパスケース
○革のスリッパとティッシュケース
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IDÉE TOKYO