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【IDÉE TOKYO】第1話 レザーブランドsonorのこれまで

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イベント・地域情報/イベント

2021/05/06

環境と人にやさしい革でバッグやサコッシュ、スリッパなどを制作されているレザーブランドsonor。
このsonorのpop upを4月29日(木)からIDÉE TOKYOにて開催しています。

子供のための服作りから始まり、趣味としてのものづくりが様々な人との出会いによって今ではお仕事になっているsonorデザイナーの園田明子さん。現在は神奈川県のたまプラーザ駅近くにアトリエを構え、園田啓太さん・スタッフさんと一緒に3人で制作をされています。POP UPに際して、園田ご夫妻よりブランドについてのお話しを伺いました。全5回のシリーズです。

今回は、園田さんが革を使って制作されるようになるまでのお話です。

instagram @sonorsonorsonor

 
 

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―園田さんはsonorを始められる前にお洋服について学ばれていたようですが、アパレル関係のお仕事もされていたのですか?

(園田明子さん 以下 明子さん)
いえ、学生の頃に洋服を学んでいたんですが、その間に結婚・出産・子育てをしていたので、自分がやりたかったことや社会に入るってことがなかなか叶いませんでした。それでも子育てのなかでできるモノづくりを続けてきた結果が、今のsonorです。

―そうだったんですね。小さいころからお洋服づくりをされていたみたいですが、それがきっかけで服飾関係の学校に入られたのでしょうか?

(明子さん)
はい、そうですね。

―sonorをはじめる前までは趣味としてものづくりをされていたのですか?

(明子さん)
趣味の範囲でやっていた感じはあります。子育てをする中で人との繋がりが生まれて、趣味の範囲にはなってしまうけど、子供のために作ったものを見た周りの方々から「うちにも作ってほしい」とお願いされたものを作ることを続けていたら、自然とまた新しい出会いに繋がりました。
 

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―周りの方の声もあってどんどん広がっていったんですね。その頃は布ものがメインだったのでしょうか?

(明子さん)
そうですね。うちは、男の子なので洋服を作る楽しみはあまりなくて。でも必要なときにスーツやシャツなどは作っていました。作ったものをたまたま見てくれた出版社の編集されている方から「簡単に作れる子供のものを記事にしたい」とお願いされて、相談しながらフリースの帽子、ミトン、マフラーを作り始めたところが起点になりました。

―どれもお子さんのものだったんですね。

(明子さん)
そうですね、最初は。

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(園田啓太さん 以下 啓太さん)
妻はもともと洋服を作っていたからその知識はあったんです。家庭に入ってからも「やりたい」って気持ちは強かった。継続してやってきたら子供を中心にして輪が広がっていき、そのうち編集者の方と繋がって少しずつ活動の場が広がっていったという印象があります。
 
(明子さん)
今もときどきお仕事させていただいているんです。ルームシューズの作り方を載せたいというお話しを頂いた時に靴とかスリッパを作ったことはなかったけれど、なんとなくの作りはわかっていました。だから自分の足に当てて立体裁断みたいにして、布で作っていました。

ただ布で作ったルームシューズは使っていくうちにどうしても破れてしまいます。素材を探しに日暮里の繊維街にときどき行っていました。たまたま革屋さんの前を通ったときに、革を使えば強度もあっていいかもしれないなっていうのが次のきっかけになりました。

いろんな種類の革を扱っているのが印象的でしたが、そのなかで唯一気になったのが豚革だったんです。そこは輸入のものがほとんどで、発色よく加工してあったり、きらきらした質感のものがあったり。その中でもナチュラルな質感の豚革がとても印象に残りました。

革ってハードルが高い感じがしたのでそのときは購入に至らなかったんですけど、2回目に行ったときに気になっている豚革の説明をお店の方から聴きました。国産の豚革で、墨田で作られていて、興味あるなら工場見学に行ってみるといよと教えてもらいました。

―山口産業さんですよね、sonorさんのコンセプトムービーで紹介されてましたね。
(sonorコンセプトムービー)YouTube
 

(明子さん)
はい、山口産業さんです。初めて見学に行ったのは10年くらい前でした。そのころ布モノでものづくりをしていて、目黒通りにある小さなお花屋さんでエプロンや袋物、ルームシューズを展示販売させて頂いていたんです。1回目は布モノだけ、2回目はもう少し変化を持たせたくて、気になった革を買って使ってみました。工場見学にも行って、趣味とちょっとだけ仕事っていう感覚でやっていました。

―元から革モノを作りたいと決めていたのではなく、たまたま豚革と出会い、これならよさそうだと思って使い始めたのでしょうか?

(明子さん)
そうですね。革は使ったことがなかったんですけど、縫ってみたら意外と布っぽいっていうか、厚手の帆布のような感覚でした。自分が使ってきた素材と近かったから形にしやすかった。これだったらルームシューズもかばんも作れそうだなって思ったんです。布でつくってたのと同じような形で、革のルームシューズとトートバッグも作ってみました。これが一番はじめの革の商品です。

―先ほど「革はハードルが高い」とお話しされていましたが、どういうところで革のハードルが高いと感じたのですか?

(明子さん)
縫いづらいことと、革独特の道具だったり、ミシンだったり、そういうものが必要なんだっていうのになんとなくハードルがありました。

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(制作でお使いになるミシン。ラジオをかけながら作業をされるそう。)

(啓太さん)
布ものと革ものの間には大きな壁がある感じがします。革のかばんといったら必ず手縫いっていうイメージがあって、厚すぎて縫えないっていうこともあるんだろうなと思っていました。
もとの始まりは洋服ですから、職人さんがつくるかばんとはなにか違うな、というのをみなさん感じられるのかもしれません。そもそも洋服が好きなので、この洋服に合うなっていう感覚でかばんを作っていることを、近くにいる僕としては感じています。

―たしかにsonorさんのかばんは洋服と合わせやすいっていう声が多いです。革を品物とするからには、必ず職人さんに弟子入りしないといけないっていう先入観がありました。どうやって独学で学んでこられたのか気になります。難しかったんじゃないかなと思います。

(明子さん)
作っていくうちにわからないことは、本を読んだり、革を購入していたお店の方が親切にいろいろ教えてくださり、少しずつ改善していきました。新しく教えていただいたことを試すとできる範囲が広がり、バリエーションも広がっていきました。

(啓太さん)いろんな人の助けがあって今があるんです。妻はものを作るのが好きなんですけど、それ以上に人と話すのが好きなんです。

(明子さん)
そうですね(笑)

 

<つづく>


とても大きく綺麗なたまプラーザ駅から歩いて5分ほどの場所にあるsonorのアトリエは、築30年以上は経っていそうなアパートの中にありました。次回も素敵なオブジェやテキスタイルがたくさんあるアトリエの中でお話しを伺います。


●つづきのお話
第2話 sonorのこれまで
第3話 sonorのこれまで
第4話 sonorのいま
第5話 sonorのこれから

*sonorの商品は以下からご覧いただけます
CORONシリーズ
革のリュックとトートバッグ
革のサコッシュとパスケース
革のスリッパとティッシュケース

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