レビュー
空間づくりのプロに教わる、フレグランスを日常で楽しむコツ

2026/09/18
取材・文/秦レンナ
いしい・やすこ/ブライダル、ホテル業界、オーガニック&ナチュラルコスメを提案する企業を経て、2018年に〈IRiS Tokyo inc.〉を設立。アロマ空間デザイナーとしてホテルや商業施設の香りのデザイン・空間演出を手がけるほか、空間や体験の企画・プロデュース、商品開発も行う。Instagram:@yacco_ishii
香りでつくる、自分らしい暮らしのリズム
「フレグランスは、空間の印象だけでなく、そこで過ごす時間の感じ方まで変えてくれるものです」そう語るのは、ホテルや商業施設などの香りを手がける、アロマ空間デザイナーの石井保子さん。
香りをインテリアや音楽、光と同じように、心地良い空間をつくる大切な要素のひとつと捉えています。自宅でもディフューザーやキャンドルの置き方を工夫し、周りの小物とあわせながら、香りを空間の一部として楽しんでいるそう。
「特別な日だけでなく、朝の身支度や仕事・家事の合間、帰宅後のくつろぎ時間などに取り入れることで、日常に自分なりの区切りや心地良いリズムをつくれるのがフレグランスの魅力だと思います」
香りを選ぶときは、過ごしたい時間を思い浮かべて
では、自分に合う香りは、どのように見つければよいのでしょうか。石井さんがまず大切にしているのは、自分が「好き」と感じるかどうかです。
「香りはとても個人的なもの。『これはリラックス用』『これはリフレッシュ用』と最初から役割を決めすぎず、まずは自分が惹かれたものを選んでみましょう。そのうえで、どこで、いつ、誰と、どんな時間を過ごしたいかを思い浮かべてみてください」
寝る前なら、夜のくつろぎに自然となじむ香り。朝の身支度や仕事を始めるときなら、軽やかで清々しい印象の香り。季節に合わせて変えるのも、楽しみ方のひとつです。
「春は花や新緑、夏は柑橘やハーブ、秋は木々やスパイス、冬は樹木やあたたかみを感じる香りなど。洋服やインテリアのように香りも衣替えすると、暮らしの中で季節をより身近に感じられます」

「無印良品には、香りを楽しむさまざまなアイテムが揃っていて、そのどれもが部屋にあるインテリアや小物になじみやすいデザイン。香りを特別なものとして構えず、日用品と同じように暮らしをつくるアイテムのひとつとして選べるので、楽しみ方も広がります」と石井さん。
ここからは、石井さんがセレクトした7品を、香りの印象やおすすめの場所・時間、使い方のポイントとともに紹介します。
清潔感を大切にしたい場所に「インテリアフレグランスオイル アールグレイ」

別売りの『ラタンスティック』をボトルに挿して使う『インテリアフレグランスオイル』は、置いておくだけで香りが穏やかに広がり、日常に取り入れやすいアイテムです。
香りの印象
「ハーブの清々しさに花々のやわらかさが重なり、最後にはムスクやアンバーのあたたかみが残ります。爽やかさとあたたかさに、清潔感のある印象を添えた香りは、日常のふとした瞬間に、気持ちをほっと和らげてくれます。甘さが強すぎず、いろいろな空間になじみそうです」
おすすめの場所・時間
「この香りを取り入れたい場所として特におすすめするのが、“清潔感を大切にしたい空間”。まず、玄関は、家に入った瞬間に最初に香りを感じる場所。爽やかさとあたたかみが、どこかほっとするような印象で迎えてくれます」
「清々しい香りは、洗面所にも。朝の身支度から夜のスキンケアまで、時間を問わず似合います。
そして、お手洗いは『消臭する場所』から『心地良く過ごせる場所』へ。香りを空間づくりの一つとして取り入れることで、印象を変えることができると思っています」
使い方のポイント
スティックの本数によって、香りの広がり方を調整できます。洗面所やお手洗いなどのコンパクトな空間では、本数を少なめに。香りを感じにくくなったらスティックの上下を返して挿し直し、それでも弱い場合は新しいものに交換します。
秋の夕暮れ時に。ぬくもりと懐かしさを感じる 「エッセンシャルオイル オータムブレンド」

天然成分100%で素材の香りを楽しめる『エッセンシャルオイル』は、『アロマポット』や『アロマストーン』『アロマディフューザー』などを使い、過ごす場所や香らせたい範囲に合わせて楽しめます。
香りの印象
「最初はスウィートオレンジのやわらかな明るさを感じ、時間とともにホーウッドやサイプレス、スウィートマジョラムのウッディ・ハーバルな香りが重なります。さらに、イランイランやジャスミン、オスマンサスのほのかな甘さが加わり、全体を丸く包み込むような印象に。
秋の少し乾いた空気の中に、陽だまりや木のぬくもりがあるような、どこか懐かしさを感じる香りです」
おすすめの場所・時間
「少し肌寒くなってきた日の夕方から夜におすすめ。あたたかい紅茶やコーヒーを飲みながら本を読んだり、アフタヌーンティーやお菓子を楽しんだりする時間に似合います。仕事の合間や、就寝前など、『ゆっくり過ごそう』と気持ちを切り替えたいときにも取り入れたい香りです」
使い方のポイント
『コードレス超音波アロマディフューザー』では、120mLの水にエッセンシャルオイル2〜3滴ほどが目安。夜は滴数を減らすと、香りの印象がやわらかくなります。炎を眺めながらゆっくり香らせたいときには、『アロマポット』もおすすめです。
静かに自分と向き合う、深呼吸の時間に「エッセンシャルオイル フランキンセンス」

香りの印象
「樹脂から抽出されるフランキンセンスは、静かで奥行きのあるウッディな香り。清涼感のある軽やかさもあり、重たくなりすぎないのが特長です。香りに意識を向けながらゆっくり呼吸すると、張り詰めていた気持ちが少しずつほどけ、落ち着きを取り戻せるように感じます」
おすすめの場所・時間
「一日の始まりに気持ちを整えたいときや、考え事で頭の中が忙しいとき、気持ちを切り替えて静かに過ごしたいときに。リビングなどの空間で香らせるだけでなく、『アロマストーン』をベッドサイドやデスクに置いて香らせるのもおすすめ。ヨガやストレッチ、瞑想など、呼吸に意識を向ける時間にもよく合います」
使い方のポイント
『アロマポット』や『アロマディフューザー』で空間全体に香らせるほか、『アロマストーン』をベッドサイドやデスクに置けば、自分の周りだけで穏やかに香りを楽しめます。
頭と気分をすっきり整え、次の行動へ「エッセンシャルオイル ユーカリ」

香りの印象
「葉の青さを感じさせるシャープで清々しい香り。すっと鼻に抜けるような清涼感の中に、青々とした葉や、ほのかなウッディさを感じます。空間に香らせると、空気までクリアになったような爽快感があります。気持ちを落ち着かせるというより、頭と気分をすっきり整え、前向きに動き出したいときに取り入れたい香りです」
おすすめの場所・時間
「朝の身支度や仕事を始める前、なんとなく気分が重いときや、頭がぼんやりするとき、仕事や家事の合間に一度リセットして、次のことに取りかかりたいときにおすすめです。
空気がこもりやすいリビングや洗面所に香らせれば、空間全体も清々しい印象に。窓を開ける機会が少なくなる秋冬にも楽しみたい香りです」
使い方のポイント
エッセンシャルオイルは、単独で楽しむほか、ほかの香りと組み合わせられるのも魅力。今回は、フランキンセンスとユーカリのブレンドを試しました。
『アロマポット』の受け皿に水を7分目ほど入れ、エッセンシャルオイルを3〜5滴(フランキンセンス2滴、ユーカリ2滴が基本)。時間帯やその日の気分に合わせて配合を変え、自分が心地良いと感じるバランスを探してみてください。
休む時間へ向かうひと吹き「ルームフレグランススプレー おやすみブレンド」

空間や布製品に吹きかけるだけで、手軽に香りを楽しめる『ルームフレグランススプレー』。携帯用はバッグやポーチにも収まりやすく、自宅だけでなく、旅先や外出先にも◎。おやすみ前の空間や寝具にひと吹きすれば、ゆったりと落ち着いて過ごすきっかけをつくります。
香りの印象
「ベルガモットの爽やかさと、スウィートオレンジのやわらかな甘さによって、張っていた気持ちが少しずつゆるみ、穏やかな気分へ。忙しい一日を終えても、頭の中に仕事や考え事が残っているときなど、香りをひとつのスイッチとして取り入れることで、『活動する時間』から『休む時間』へ切り替えることができます」
おすすめの場所・時間
「入浴やスキンケアを終え、照明を少し落として過ごす就寝前に。一日の終わりに、自分のための時間へ戻るきっかけをつくってくれます。また、旅行や出張など、いつもと違う環境で眠るときにもおすすめ。普段使っている香りを持っていくことで、旅先でも自分が心地良く過ごせる環境をつくれます」
使い方のポイント
ピローミストとして使う場合は、眠る少し前に枕や寝具から20〜30cmほど離し、1〜2プッシュ程度を目安に。ベッドに入る頃には香りがやわらかくなじみます。
自分をケアする時間に「フレグランスキャンドル グリーン」

香りとともに、炎の揺らぎやあたたかなあかりを楽しめる『フレグランスキャンドル』は、食後や読書の時間に灯したり、夜のスキンケアをしながら楽しんだりと、さまざまな場面に取り入れられます。キャンドルのあかりで、いつもの部屋の雰囲気も少し違った表情に。
香りの印象
「リーフィグリーンやライムの青々とした清々しさに、ラベンダーやハーバルのニュアンスが重なり、時間が経つにつれて、花々のやわらかさやムスクの穏やかさも加わります。甘さが強すぎず、植物の青さと花の華やかさが心地良く調和した香りです」
おすすめの場所・時間
「週末など、いつもより時間をかけて自分をケアしたい日のバスタイムに。また、リビングで食後や読書をするとき、洗面所で夜のスキンケアをするときなど、ゆっくり過ごしたい時間にもよく合います」
使い方のポイント
石井さんおすすめは、『おやすみ前の薬用重炭酸タブレット』との組み合わせ。
香りとあかりに、入浴、セルフケアを組み合わせることで、いつものバスルームが、自分のためにゆっくり過ごす空間に。ケアタイムの後は、いつもより心地良く眠れるはず。
※浴室で使用する際は、換気扇を常時回すなど換気を行いながら使用してください。
※平らで安定した水がかからない安全な場所に置いて使用してください。
自分のための時間をつくるきっかけに「お香 シトラスウッディ」

シトラスとウッディの香りをブレンドした、スティックタイプのお香。火をつけ、香りがゆっくりと広がるのを待ち、立ちのぼる煙を眺める。その一連の流れも含めて楽しめます。
香りの印象
「柑橘の明るさがありながら、フレッシュで軽いシトラスというより、ウッディの深みと、お香ならではの煙のニュアンスが重なることで、やわらかく落ち着いた印象。爽やかさと落ち着きのどちらかに偏りすぎず、ゆっくり過ごしたい時間に取り入れやすい香りです」
おすすめの場所・時間
「朝、一日を始める前に少し静かな時間をつくりたいときや、ストレッチや瞑想、読書など、ひとつのことにゆっくり意識を向けたいときにおすすめです」
「リビングや自分の部屋など、落ち着いて過ごせる場所によく合います。お香は焚き始めから終わりまでに区切りがあるので、『この一本を焚いている間は少しゆっくり過ごす』と、自分のための時間をつくるきっかけにもなります」
使い方のポイント
『ねかせて焚く香皿』を使えば、フタをしたまま香りを楽しめて、灰も飛び散りにくくなります。使用後のお手入れがしやすく、日常に取り入れやすいのもうれしいところ。

好きな香りから、暮らしの豊かさを広げて
置いて穏やかに香らせたり、気分を切り替えたいときにひと吹きしたり、炎や煙の揺らぎとともに味わったり。いつもの過ごし方に合うアイテムを選べば、フレグランスは日々の暮らしに自然となじんでいきます。そして、「フレグランスを楽しむようになると、香りを感じること自体にも意識が向くようになる」と、石井さん。
「朝のコーヒーや焼きたてのパン、公園の草木など、身の回りにはたくさんの香りがあるんです。そうした日常の香りにも気づくと、暮らしの中の季節や変化を、より豊かに味わえるようになると思います」
まずは好きだと感じる香りをひとつ。「この香りと、どんな時間を過ごそう」と思い浮かべながら、いつもの暮らしに取り入れてみませんか。
※香りの印象や気分についてのコメントは、石井さん個人の感想です。各商品の使用方法にしたがってお楽しみください。キャンドルやアロマポット、お香は、燃えやすいものの近くを避け、使用中はその場を離れず、就寝前に必ず消火してください。
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