ゆらぎに寄り添う。養生日和
低気圧による頭痛、むくみ、だるさに。溜め込まない漢方ケア

2026/05/18
取材と文・高浦彩加 撮影・藤井由依
良品計画 食品部商品開発 お茶担当。総合商社に新卒入社し、過労とストレスで身体を壊したのを機に漢方と出合い、漢方を学ぶために薬学部に再入学。生薬研究室で薬草を栽培しながら研究に励み、漢方や薬草をもっと世の中に広めたいという思いから、現職に至る。
なんとなく重だるい。梅雨の“湿邪”対策
雨の日が続き、空気がずっしり感じられる梅雨は、体もどこか重だるく、頭痛やむくみ、食欲不振といった不調に悩まされやすい時季。
「漢方では、梅雨の不調は『湿邪(しつじゃ)』の影響と考えます。『湿邪』とは体調不良を引き起こすほどの“過剰な湿度”のこと。
『湿邪』により、人体を構成する基本的な3要素『気・血・水』(詳しくはこちらの記事)のうち『水』が溜まったり、偏在する『水滞(水毒)』の状態になることで、梅雨特有の不調が起きると漢方では考えます」と漢方生薬ソムリエの織田枝里子さん。

また、東洋医学で考える5つの体の機能=『五臓』(※)のうち、『湿邪』の影響を受けて機能が低下しやすいのが、胃腸・消化器系の働きを担う『脾』。
「『脾』は水分代謝にも関連していて、機能が低下すると『水』の巡りも悪化するため、胃腸をいたわりつつ、“水はけ”を良くするのが梅雨の養生法のポイントです」
※『肝(かん)』『心(しん)』『脾(ひ)』『肺(はい)』『腎(じん)』の5つをまとめて『五臓』と呼び、西洋医学における解剖学的な臓器そのものを指すのではなく、働きによって分類したより広い概念を含む。“出す”ことで整える、3つの習慣
本格的に暑くなってくる5、6月ですが、冷たいものは胃腸に負担がかかりやすいため、あたたかく消化にやさしい食事で胃腸をいたわりつつ、排泄を促す習慣を日常に。今回は、食事・発汗・漢方薬という3つの視点から取り入れやすい養生法を紹介します。
① 食事
「ハトムギや黒豆などの豆類、海藻やおくらなどのネバネバした食材は、水分の排出を助ける食材。普段飲んでいるものをハトムギ茶や黒豆茶に置き換えたり、食事にネバネバ食材の小鉢をプラスしてみてください」
さらに、水の流れを良くするためには、巡りを助ける食材も◎。
「生姜やネギは、体を温めながら発汗を促し、胃腸の働きもサポートしてくれます。ついつい冷たいものを選びたくなる時季だからこそ、意識的にとり入れましょう」

② 発汗
汗をかくことも、水分代謝を促すのに大切なこと。
「湯船にゆっくり浸かるだけでもよいのですが、海塩には発汗を促す効果があるので、バスソルトを入れるのもおすすめです」
暑いとついついシャワーで済ませがちですが、週に数回は湯船に浸かる時間をつくるだけで、体の軽さは変わってくるはず。また、冷房に頼りすぎず、適度に汗ばむ時間をつくることも、この時季は大切。
「初夏から冷房を使いすぎてしまうと、体の中に溜まった水分を外に出すタイミングがなくなってしまいます。

無理に暑さを我慢する必要はありませんが、サーキュレーターや扇風機、接触冷感素材の寝具やインテリア、風通しの良い衣服などを活用し、ほど良く汗ばみ、体が自然に熱を逃がせる環境をつくるのが水滞ケアには大切です」
③ 漢方
低気圧の影響で、頭痛やだるさ、むくみが強く出る場合は、漢方薬を取り入れるのも選択肢の一つ。
「一般的に、むくみ改善には五苓散(ごれいさん)というイメージが強いのですが、体質や体の状態によって、『苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)』という漢方薬が適しているケースも。

判断する基準は尿の量。尿量は変わっていない場合は『苓桂朮甘湯』、尿量が減っていると感じる場合は『五苓散』がおすすめです」
無理なく取り入れやすいものからトライしてみて、自分に合った養生法で、梅雨を軽やかに乗り切りましょう。
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