きほん服ってなんだろう? 流行がうつり変わっても、いつもクローゼットに入っている服、気がつくとつい手にとってしまう服。そう聞いて、誰しも装いのきほんとなる服が一着や二着は思い浮かぶはずです。着やすくて実用的。くらしに寄り添う服こそが、無印良品が考える「きほん服」です。
シャツやTシャツ……形は同じでも、どこか佇まいが違う——。そう感じることはありませんか。それは素材自体や織り方はもちろん、どのような「糸」を使うかで雰囲気が変わるからです。
無印良品も、それぞれの特性を活かして、アイテムごとに糸を使い分けています。例えば、オックスフォード生地のボタンダウンシャツ。
紳士 洗いざらしオックスボタンダウン長袖シャツ
ひと口にオックスフォードといっても、20〜40番手の糸を使った定番の「レギュラーオックス」や、80〜100番手の糸を使用した上品な「ピンオックス」、120〜140番手の糸を用いた高級感のある「ロイヤルオックス」など、同じ生地でもさまざまな種類があります。
種類は数あれど、オックスフォード生地は縦糸が「単糸」、横糸が「双糸」のものが一般的。それがオックスフォード生地特有のハリコシを生み出しています。
紳士 洗いざらしオックスボタンダウン長袖シャツ
一方で、無印良品の
洗いざらしオックスフォードシャツは、縦糸・横糸ともに「単糸」で織っています。なぜ、横糸を単糸にするのか。生地のハリ感を適度に抑え、肌なじみがよく、誰でも着やすく、そしてオンオフ問わず着ていただけるオックスフォードシャツに仕上げるためです。
ちなみに双糸とは、2本の糸を撚り合わせた糸のこと。耐久性の高さだけでなく、ハリ感を出すことができます。また、糸を撚り合わせることで斜行(編み上がりが斜めにゆがむこと)も解消されるため、ニットをはじめ幅広く使われています。また、ツヤが出るのでドレス系シャツにも用いられます。
単糸は文字通り一本の繊維からなる糸のこと。カジュアルな雰囲気の生地をつくるのに向いているとされ、無印良品ではデニムなどのアイテムに用いるケースが多いです。
店頭に足を運んだ際には、ぜひ糸から生まれる質感の違いを観察してみてください。きっと服選びの新たな楽しみに出合えるはずです。
【関連コラム】
原点のバスクシャツと0.8cmのボーダーライン
おはじきボタンという小さな工夫
きほん服と時代感|変わらないために変わり続ける服