ゆらぎに寄り添う。養生日和
深い休息へと導く、就寝前の過ごし方のコツ

2025/12/12
取材と文・高浦彩加 撮影・藤井由依
※12月15日(月)より、ネットストアにて全商品の販売を再開しました。詳しくはこちらからご確認ください。
20代の頃、心身の不調から回復する過程でアーユルヴェーダに出合い、国内のクリニックで学びながら自宅での実践をスタート。その後、より深く本質を理解したいとの思いからインドへ渡る。2013年以降は、米国クリパルセンターのアーユルヴェーダ学部にて、継続的に学びを深めている。米国NAMA認定アーユルヴェーダヘルスカウンセラー資格のほか、米国クリパルセンター公認ヨガ教師など多数のヨガ資格も取得。
インド・スリランカ発祥の約5000年の歴史を持つ伝統医学で、食事や呼吸法、マッサージ、ハーブやスパイスなどを用いながら、心と体の健康を維持・増進し、病気を予防することを目指す。アーユルヴェーダでは、人間を含め、自然界のすべてのものが「ヴァータ」「ピッタ」「カパ」という3つのエネルギー(=ドーシャ)から成ると考える。3つのバランスによって一人ひとりの体質が決まり、季節やライフステージによってもそのバランスが変化する。
季節の変化に振り回されない体の土台をつくる
アーユルヴェーダでは、自然のサイクルをはじめ、私たちは常に外部環境の影響を受けているという考えがベースにあり、各季節のドーシャ(下の表を参照)を理解し、それに合わせたセルフケアを行うことをすすめています。



湿度が高くなる春はカパ、気温が高い夏はピッタ、そして気温が下がり、乾燥する秋冬はヴァータが過剰になりやすく、冬はヴァータを意識してケアを行うと効果的。
「ケアの考え方はシンプルで、その季節に過剰になりやすいドーシャと反対の質を補うのがポイントです」とアーユルヴェーダを活用した体質改善指導を行う三浦まきこさん。
「その季節の過ごし方が次の季節の体調に影響を与えるため、秋冬のヴァータのケアは、春のカパ、夏のピッタといった他の季節のドーシャの乱れ防止にもつながります。
アーユルヴェーダというと、ハーブやスパイスといった食べものや飲みものをイメージする方も多いかもしれませんが、他者との関わり方や、仕事の種類や仕方、肌にふれるものなど、五感を通して自分に入ってくるありとあらゆるものがドーシャを変動させるんですよ。
さまざまなアプローチでドーシャを整え、季節の変化に振り回されにくい“身体の土台”をつくっていきましょう。
寝る前のルーティンで、心と体に安定を
年末年始に向けて、何かと慌ただしくなりがちな12月。ヴァータの不安定さを落ち着けるために現代人が取り入れたいのが、毎日行うちょっとしたルーティン。
「アーユルヴェーダでは、自然のサイクルに沿った生活習慣をすすめていて、睡眠の質を左右する就寝前のリズムを整えることから、まずは実践してみましょう。休息の質が上がり、日中のリズムも整いやすくなります」

光の刺激が多い現代では、自然界の暗さと私たちの夜の過ごし方にどうしてもズレが生まれがち。
「湯船につかり、寝る1時間前にはスマートフォンを見るのをやめて、間接照明やキャンドルに切り替え、瞑想やヨガを行ったり、日記を書いたりするなど自分なりのルーティンを決め、自然のサイクルに合わせて心身を鎮める静かな時間を取ることで、ヴァータが落ち着いていきますよ。
可能なら食事は寝る3時間前までに。胃腸が休まった状態で眠りにつくことで、睡眠の質が整い、翌日の軽さにもつながります。
また、ヴァータが持つ硬さや粗さ、軽さとは反対の、やわらかさやしっとり感を感じさせる絹やベロアなどの素材や、ある程度重たさがあるものが体に触れていると落ち着くので、寝具選びの参考にしてみてください」
眠りは、いるものといらないものを分ける大切な時間。整うことで、日中の心も体も安定するはず。
眠れない日に効く、アーユルヴェーダの知恵
特に不眠や疲れを感じた日は、あたたかい、自然な甘みを持つ飲み物を寝る前に取り入れてみましょう。
「おすすめは、ターメリック、シナモン、生姜、ナッツやドライフルーツなどを加えたあたたかいミルク。“甘み”や“重たさ”の質を持つミルクはヴァータを落ち着け、スパイスは消化を助けてくれます。」
また、体は疲れているのに頭だけが冴えてしまったり、気持ちが落ち着かないとき、移動が多いときには、横たわった状態で、壁などを支えにして足を上げた姿勢をしばらくキープしてみて。

「軽くて動き回るヴァータを地面に沈め、このポーズを行うことで、グラウンディング、地に足がついたような落ち着きを感じることができます。
冷えないように、ブランケットをかけたり、骨盤の下にクッションを入れると、よりリラックスできる方もいるので、自分に合った方法をみつけてください」
忙しい季節だからこそ、短くても、就寝前に自分のための時間を意識的につくる。落ち着きを取り戻し、自分らしく快適に冬の暮らしを楽しみましょう。
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