ゆらぎに寄り添う。養生日和
グリーンカレーで巡らせ、発散。初夏の心と体が整う漢方の食養生

2026/05/13
取材と文・高浦彩加 撮影・藤井由依
良品計画 食品部商品開発 お茶担当。総合商社に新卒入社し、過労とストレスで身体を壊したのを機に漢方と出合い、漢方を学ぶために薬学部に再入学。生薬研究室で薬草を栽培しながら研究に励み、漢方や薬草をもっと世の中に広めたいという思いから、現職に至る。
蓄積したストレスや疲労がどっと表れやすい5月
春は漢方で考える5つの体の機能=五臓のうち、血を貯蔵し、全身へ巡らせる働きである『肝』の機能が低下し(詳しくはこちらの記事)、巡りが悪化することで、頭痛やイライラ、めまいといった不調が表れやすい季節だと漢方では考えます。

4月からの緊張やストレスの蓄積、大型連休の疲れなどで、5月は『肝』に関連した不調がさらに悪化したかたちで表れやすい時季。
「季節特有の不調という段階から一歩進み、漢方の治療指針となる『気・血・水』という理論に基づいて心身の状態を捉える必要がでてきます」と漢方生薬ソムリエの織田枝里子さん。

「『気・血・水』は人体を構成する基本的な3要素のことで、どの方向から整えるか治療の指針になる理論。この3要素が過不足なく、バランスよく巡っている状態が、漢方では健康だと考えます。
『肝』の機能低下が続くと、『気』の巡りが悪化し、『気滞(きたい)』と呼ばれる状態に。イライラしやすかったり、鬱っぽくなったり、精神的な不安定さに加え、喉の詰まり感、胸やお腹の張り感のほか、不眠の症状が表れるケースも。
『気』が『血』と『水』を運ぶ役割を担っているため、『気滞』が続くと、やがて血の巡りが滞る『瘀血(おけつ)』や、水の巡りが滞る『水滞(すいたい)』といったほかの不調にもつながっていきます」
巡りを促す香り、苦み、辛味を食卓に
『気滞』の養生のポイントは「巡らせること」と「発散させること」。3月、4月に引き続き、適度な運動は取り入れつつ、“滞りを散らす”性質を持つ食材を積極的に取り入れるのが◎。

「よもぎやセロリ、バジル、パセリのような香りが強い食材、たけのこやゴーヤのようにほのかな苦みを持つ食材には、『気』の巡りを促す働きがあるとされています。
また、適度な辛味も滞っている『気』を動かし、発散させるのに役立ちます。青唐辛子の爽やかな辛味に加え、レモングラスやこぶみかんの葉といった『肝』の働きをサポートする酸味、バジルやたけのこが入ったグリーンカレーは『気滞』の養生に好適な料理。
そのほか、南インドやスリランカのカレーは油や乳製品を使っているものが少なく、消化に軽いうえ、香りと酸味、辛味の要素が揃ったものが多くおすすめです」

自宅ではとり入れるのが難しい食材や料理も、レトルトを活用したり、外食時に意識してメニューを選んだり、食を楽しむ感覚の延長で、漢方の養生をぜひ実践してみてください。
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