きほん服
きほんとは、自分にとって1日そのもの|きほん服インタビュー③関 康さん(製麺所経営)

2025/03/13
きほん服ってなんだろう? 流行がうつり変わっても、いつもクローゼットに入っている服、気がつくとつい手にとってしまう服。そう聞いて、誰しも装いのきほんとなる服が一着や二着は思い浮かぶはずです。着やすくて実用的。くらしに寄り添う服こそが、無印良品が考える「きほん服」です。
「無印良品のきほん服・春」の特集でモデルを務めてくださったみなさんに、それぞれが考える「きほん」について聞きました。六人六様の「きほん」の話。鎌倉で三代続く「邦栄堂製麺所」の関 康さんが考える「きほん」とは?

「毎日、ほぼ同じ仕事というかルーティンワークなので、『きほん』というと1日みたいな感じですね。朝起きる時間もだいたい決まっているし、やることも決まっていて、着る服もいつもデニムにカットソーを着て、という具合です。作業量は日によって違いますが、それをこなしていくのが『きほん』です」
——まさにルーティンワークですね。
「そうですね。自分の親がそうしているのをずっと見ていたから、自然とそうなっています。朝6時半ぐらいから機械を動かして、製造を9時過ぎに終えて、スタッフが配達に行き、僕は餃子の皮をつくる。お昼を食べて、午後は配送作業と片付けをして、次の日の段取り……だいたいの作業が終わるのが16時ぐらい。そのあと18時くらいまで事務作業、というのが水曜日から日曜日まで続きます」

「お酒を飲むことを含めて食べることが好きなので、そんなに変なものは食べたくない。朝昼晩と食べて、夜ちょっと飲んで、というのを生活のきほんとしてやっていきたいなと思っているので……何を言っているんでしょうね(笑)。でも、仕事があっての暮らし、というのがきほんになっているのかもしれません」
——仕事がすべての中心ということでしょうか?
「自分のことだけではなく、(経営者として)邦栄堂製麺全体のことを考えなければならないので、製麺所がうまく回っている状態が、『きほん』でありたいという思いがあります」

「『ひと』ですかね。ひとりで仕事をやっているわけではないので、みんなが気持ちよく働ける環境がやっぱりいちばん重要なのかなと思います。仕事ができる/できないとか、たくさん売り上げようというよりは、結局、気持ちよく楽しく働けていれば、ほかのいろいろなことに繋がっていくのではないでしょうか」
——気持ちよく楽しく働ける環境づくりで、どんなことを心がけていますか?
「自分も含めて、人には得手不得手があるから、できるだけその人が活きる仕事をお願いすることですね。コミュニケーションも欠かせないですが、得手不得手を見極めることが意外と重要だと思います。やっぱり不得手なことをやり続けるのはストレスが多くなるし、お互いにイライラしてきてしまいますから(笑)」

「ブランドによって、同じLサイズでも全然違うじゃないですか。だから、自分の身体に合うブランドを見つけることを意識しています。ベーシックなものが好きなので、昔からあるブランドを結構選びます。長持ちするものも好きで、使い込んで味が出る服などがワードローブのきほんになっています」
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