男性の肌を考えた、スキンケアのコツと意外な落とし穴

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おたより/暮らしのQ&A

2025/11/18

11月19日は「国際男性デー」。男性・男の子の心身の健康や幸福について考え、ジェンダー平等を促す日として、1999年にトリニダード・トバゴで始まった記念日です。いまや性別、年齢問わず日常の一部となりつつあるスキンケアも、男性のQOLを上げるセルフケアのひとつ。そこで、今回は再生医療のスペシャリストで、形成外科医の落合博子先生に、男性の肌の特長やスキンケアのコツをいちから教えてもらいました。
取材と文・山本加奈 イラスト・MIKITAKAKO

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落合博子
落合博子さん(形成外科医)
国際医療福祉大学医学部教授。日本形成外科学会専門医。再生医療認定医。東北大学医学部を卒業後、形成外科、創傷外科の専門医としての勤務を経験。2003年より国立病院機構東京医療センター形成外科科長を務めたのち、現職。著書に『美容常識の9割はウソ』(PHP研究所)。

男性ならではの肌の特長とは?

スキンケアへの関心が高まってきた昨今でも、「結局、何から、どうはじめたらいいのか」という男性もまだまだいるのではないでしょうか。

「肌を観察することは、身体はもちろん、心や内面のコンディションを知ること。スキンケアを通して、自分と向き合う時間を持ってみましょう」と語るのは落合博子先生

「男性の肌は女性よりも皮脂分泌が多く、水分量が少ないのが特長です。乾燥しやすく、皮膚が厚いためゴワつきやすい傾向があります」。

そんな男性の肌に合う、スキンケアとは?

「男性に多いのが、顔のテカリが気になるからと、何度もハンカチで顔を拭いたり、洗顔を過剰にしてしまうこと。皮脂を取り除きすぎると、肌はそれを補おうとして、さらに分泌を増やしてしまい、逆効果です

過剰なケアが生み出す悪循環。皮脂の分泌量を整えるいちばんの近道は、“シンプルなケア”に尽きると落合先生。

1日1〜2回、やさしく汚れを落とす洗顔とシンプルな保湿を続けましょう。朝は水かぬるま湯ですすぐ程度でも十分です。夜は、日中の汚れや余分な皮脂を泡洗顔でやさしくオフしましょう」。

ゴシゴシ洗ったり、タオルやおしぼりなどで力強く拭くのはもちろんNG。刺激が強いと、肌にダメージを与え、角質が厚くなって肌が硬くなる原因になります。

バリア機能を守ることが何より大切

やさしい泡洗顔とシンプルな保湿がなぜ大切なのか。その答えは肌の構造を理解することで見えてきます。

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「肌の表面は角質層で覆われています。洗いすぎると、この角質層にいる皮膚常在菌や表皮ブドウ球菌を過剰に取り去ってしまうんです。これらは皮膚の“バリア機能”を支える大切な存在

中でも表皮ブドウ球菌は、皮脂や汚れをエサにして天然の保湿成分であるグリセリンや脂肪酸をつくり、肌の潤いを保っています」。

“バリア機能”とは、内側の水分の蒸発を防ぎ、外からの刺激や微生物の侵入を防ぐ、肌を守る防壁のような働きのこと。

常在菌を洗い流してしまうと、天然の保湿成分がつくられず、乾燥やテカリ、毛穴の開き、黒ずみなどのトラブルにつながります。肌と共に生きている自分の常在菌の力を信じ、協力し合う視点を持ちましょう」。

シンプルな保湿を。6週間で肌は自ら整う

続いて、洗顔後の保湿。化粧水、乳液、美容液、クリームなど、たくさんのアイテムがありますが、落合先生が推奨するのは、それらを多用するより、少ないアイテムできちんと保湿をすること

「アイテムを重ねれば重ねるほど、どれが自分に合っていて、どれが自分に合わないのか見極めるのが難しくなります

そもそも、肌に良さそうな成分は外から与えれば入っていくと思われがちですが、実際は皮膚は異物を体内に入れないように守るのが役目。これがバリア機能の本質であり、その働きを支えるのが保湿なのです。

角質層では、体内でつくられたヒアルロン酸やセラミド、アミノ酸が水分を保持しながら角質細胞のすき間を満たし、潤いの膜をつくり、バリア機能を果たしています

そのためどれだけ化粧水をたくさんつけても、角質層より内側には届かないのです。だからこそ、化粧水よりも、油分を含むクリームやオイルでバリア機能を補って、うるおいを閉じ込めることに力点を置く方が肌トラブル防止に効果的です。

おすすめは、皮脂に近い成分を含むフェイスクリームやオイルなど。かぶれが起きず、使っていて心地良く感じるものを選びましょう。

べたつきが気になる場合は、セラミドなど保湿成分を含む化粧水や、オールインワンを選んでみてください。

バリア機能がダメージを受けて、肌がとても敏感になっているときは、洗顔後にワセリンのみで保湿し、とにかくあまり肌を触らないようにして過ごす。肌にはターンオーバーによる自己回復力があり、正しくケアをすれば、約6週間で落ち着くことが多いです」

紫外線対策は万人に必須

洗顔、保湿に続き、肌の老化やトラブルを防ぐうえで欠かせないのが、紫外線対策。UVケアを怠ったダメージは、季節の変わり目に“肌の不調”として現れたり、シミやシワができる大きな要因に

「日常の紫外線対策として使う日焼け止めは、SPF15以上あれば十分とされています。朝の洗顔・保湿後、日に当たる15〜30分前に多めの量を肌にのせるようにつけましょう

ベタつきが気になる人はジェルタイプのさっぱりしたものを。屋外でのスポーツや南の島への旅行の際は、SPF値がより高いものを、と好みの使用感やシーンに応じて使い分けてください。

老人性色素斑と呼ばれる、加齢に伴ってできるシミは、ゴルフやドライブなどで紫外線に当たる時間が長い部位に多く見られます。一度できてしまったシミは、皮膚科や形成外科に相談して、レーザー治療をするのも一つの手ですよ」

シェービングによる肌荒れを防ぐには

男性特有の悩みのひとつが、シェービングによる肌荒れ。「肌が弱い」、「ひげが太くて硬い」、「しっかり剃らないと落ち着かない」……事情は人それぞれですが、ちょっとの工夫で肌をいたわることができます。

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「まず試したいのがシェービング剤。泡やジェルの膜がクッションとなり、刃の摩擦を軽減してくれるので、使っていない人は取り入れてみてください。敏感肌の人は、使用前に腕の内側でパッチテストをしておくと安心ですよ。ダメージが気になる方は、保湿でアフターケアを忘れずに。

また、ひげ剃り前に“蒸しタオルで温める”という方法も耳にしますが、医師の立場からはおすすめできません。お風呂場でひげを剃るという方もいらっしゃるかもしれませんが、皮膚が蒸気でふやけると、バリア機能が弱まる原因となります。

その状態で刃を当てると、肌が傷つきやすいので、風呂場で剃る際は、肌がふやける前に行ってみてください」

それでも肌荒れを繰り返す場合は、レーザー脱毛という選択肢も

「レーザー脱毛は3〜6ヶ月ごとに繰り返し行う施術ですが、その間にもひげ剃りの回数が減り、肌への負担も軽くなりますよ」。

お悩み対策にはメイクアップを有効活用

つまるところ、スキンケアとは、自身の肌が持つバリア機能の循環をスムーズに保つための手助け。だからこそ、なるべくそれを邪魔しないように、必要以上に肌を触らず、乱れた肌の機能が自然に整うのを気長に“待つ”というのが大切です。

ただ、そうは言っても、毛穴やニキビ跡など、今抱えている悩みが気になる……という方も多いはず。

「悩みをカバーして、肌をきれいに見せたいなら、男性も気軽にメイクアップを取り入れてみてはどうでしょうか」と落合先生。

最近はジェンダーフリーで使いやすいものや、メンズコスメも充実してきています。UVカット機能と保湿成分を配合したメイクアップベースなら、紫外線対策をしつつ、肌の色ムラを抑え、明るく見せてくれることで、清潔感と好印象を引き出してくれます。

肌本来の力をサポートするスキンケアと、気持ちを高めてくれるメイクアップ。自分を心地良くする習慣を取り入れてみてください。

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