軽、快、楽。ロングセラーのひみつ
本場に学び、日本で愛される味を | 素材を生かしたカレー バターチキン

2026/07/17
日常がより心地良く、楽しくなる。たくさんの人にながく愛されている、無印良品のロングセラー商品はどのようにつくられ、アップデートしてきたかを担当者に聞く連載。
今回は、2009年の発売以来、無印良品を代表するロングセラーとして愛されている『素材を生かしたカレー バターチキン』。数あるカレーのなかでも不動の人気を誇り、改良を重ねて現在は6代目が店頭に並んでいます。進化の足跡を、商品担当者に聞きました。
(取材と文・熊坂麻美 撮影・竹之内祐幸)
今回は、2009年の発売以来、無印良品を代表するロングセラーとして愛されている『素材を生かしたカレー バターチキン』。数あるカレーのなかでも不動の人気を誇り、改良を重ねて現在は6代目が店頭に並んでいます。進化の足跡を、商品担当者に聞きました。
(取材と文・熊坂麻美 撮影・竹之内祐幸)

スパイスの奥深い香りと、まろやかさが特長のバターチキンカレー。2009年に発売した初代のバターチキンからアップデートを重ね、2026年現在は6代目。スモーキーで香り高いビッグカルダモンを加えることで、複雑でさらに奥行きのある味わいに進化しました。
幅広い人に食べてもらうために

——バターチキンカレーは、どんな経緯から生まれた商品なのでしょうか。
「無印良品の食品開発のコンセプトのひとつに、“世界の食文化に学ぶ”という考え方があります。そのコンセプトのもと、世界の食文化に学ぶカレーとして、2002年にタイのグリーンカレーを発売しました。好評だったのですが、グリーンカレーは辛さも強く、お客様の好みが分かれる商品でした。
そこで、大人はもちろん、お子さまも含めてもっと幅広い人に楽しんでもらえるカレーをつくろうと、バターチキンカレーの開発がはじまり、2009年に発売しました」
そこで、大人はもちろん、お子さまも含めてもっと幅広い人に楽しんでもらえるカレーをつくろうと、バターチキンカレーの開発がはじまり、2009年に発売しました」
——レシピを作るうえで大変だったのはどんなところですか。
「当時は、バターチキンカレーを食べられるお店が今ほど多くなかったですし、つくり方を知っている人も社内にいませんでした。国内のインド料理店を巡って試食し、シェフから教わりながら、少しずつ形にしていきました。
初代のバターチキンは、カシューナッツとバターを使い、濃厚でまろやかなインドのバターチキンをお手本にしつつ、日本のお米に合わせた味わいに。実際、発売当初から売れ行きは良く、そこからより美味しいものを作るために、インドに出向いて2代目の開発がスタートしました」
初代のバターチキンは、カシューナッツとバターを使い、濃厚でまろやかなインドのバターチキンをお手本にしつつ、日本のお米に合わせた味わいに。実際、発売当初から売れ行きは良く、そこからより美味しいものを作るために、インドに出向いて2代目の開発がスタートしました」
インドで学び、日本のお米に合う味へ

——2代目以降は、本場インドの味に徐々に近づいていったのでしょうか。歴代のバターチキンの特長を教えてください。
「2代目は、現地のスパイスの使い方を学び改良。現地の味にならいスパイスを組み合わせ、トマトの酸味と甘みを生かした味わいに。無印良品のバターチキンの原型がここで生まれたと思います。
3代目では、現地のシェフに食べてもらったところ“バターチキンに欠かせないカスリメティが入っていない”とアドバイスをいただいたんです。ほんのり甘く、かすかに苦味のあるカスリメティを加えることで、ぐっとインドらしい風味になりました。
4代目は、現地のコクを再現するためにギーを加えて深みを出し、5代目からは味わいの違う3種類のトマトを使って酸味や甘み、旨みを際立たせました。そのベースに、カシューナッツを増やしてよりまろやかに、スモーキーな香りのビッグカルダモンで奥行きを持たせたのが、現在の6代目です」
3代目では、現地のシェフに食べてもらったところ“バターチキンに欠かせないカスリメティが入っていない”とアドバイスをいただいたんです。ほんのり甘く、かすかに苦味のあるカスリメティを加えることで、ぐっとインドらしい風味になりました。
4代目は、現地のコクを再現するためにギーを加えて深みを出し、5代目からは味わいの違う3種類のトマトを使って酸味や甘み、旨みを際立たせました。そのベースに、カシューナッツを増やしてよりまろやかに、スモーキーな香りのビッグカルダモンで奥行きを持たせたのが、現在の6代目です」

——少しずつ進化を続けているんですね。そのなかで、初代から変えていない部分はありますか。
「辛さの度合いは、初代から変わらず2辛で統一しています。あとは、インドの味やつくり方に学びながらも、“日本のお米と合わせておいしく食べられる”ことに、ずっとこだわってきました。
たとえば、実は現地のバターチキンには玉ねぎは入っていません。それで6代目のリニューアル時に玉ねぎを抜く案が出たのですが、抜いてしまうと甘みがほんの少し足りなくなるんです。玉ねぎの甘みがあった方が、日本のごはんにはしっくりくると考え、残すことにしました。毎回、こうした些細な調整や工夫を凝らしています」
たとえば、実は現地のバターチキンには玉ねぎは入っていません。それで6代目のリニューアル時に玉ねぎを抜く案が出たのですが、抜いてしまうと甘みがほんの少し足りなくなるんです。玉ねぎの甘みがあった方が、日本のごはんにはしっくりくると考え、残すことにしました。毎回、こうした些細な調整や工夫を凝らしています」
——バターチキンが長く愛される商品になった理由は、どこにあると思いますか。
「老若男女においしく食べていただける味であることが、まず大きいと思います。そして、進化し続けているところも、支持していただいている理由のひとつではないかと。人気があるからと現状にとどまるのではなく、さらなる美味しさを求めてブラッシュアップを続けて今があります。味の変遷を明確に認知してくださっている人は少ないかもしれませんが、私たちの思いがバターチキンの味から伝わっていたらうれしいです」
いつか日本の食卓の定番に

——バターチキン以外にも、無印良品のカレーはなんと約50種類。今年登場した新しいシリーズは、スリランカのカレーだそうですね。
「湿度も気温も高い夏に、暑い時期でも食べやすいさらりとした口当たりのカレーをつくりたいと思い開発しました。スリランカのカレーは、スパイス使いがシンプルで油も控えめ。現地で食べたとき“これなら暑い日でもさらっと食べられるはず”と感じ、その軽やかさを生かして商品化しました。
私たちの商品開発は、生活者であるお客さまの立場に立ったとき、その商品が本質的に役に立つのか、その商品が存在することで生活が良くなるのか、そのための仕様になっているかといった視点を大切にしています。無印良品のカレーのラインナップは今約50種類ですが、ただ数を増やしてきたわけではなく、担当者たちがそうした視点で向き合い続けてきた結果なんです」
私たちの商品開発は、生活者であるお客さまの立場に立ったとき、その商品が本質的に役に立つのか、その商品が存在することで生活が良くなるのか、そのための仕様になっているかといった視点を大切にしています。無印良品のカレーのラインナップは今約50種類ですが、ただ数を増やしてきたわけではなく、担当者たちがそうした視点で向き合い続けてきた結果なんです」
——熱量高く作られた各国のカレーが、手軽に味わえるのは大きな魅力ですよね。ラインナップが多いほど、お気に入りを見つけたり、シーンによって選び分ける楽しさもあります。
「今後は手づくりする方に向けて、ルーやキットの品揃えも充実させていく予定です。カレーは日本人にとって、国民食。これからも、誠実に商品づくりを続けていきたいです」

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