軽、快、楽。ロングセラーのひみつ
美味しさはそのまま、焼きムラや凸凹も生かして | 不揃いバウム

2026/08/25
日常がより心地良く、楽しくなる。たくさんの人にながく愛されている、無印良品のロングセラー商品はどのようにつくられ、アップデートしてきたかを担当者に聞く連載。
今回は、常時約20種類の味を揃える定番おやつ『不揃いバウム』について。前身であるスティック型バウムのことから、個人的に好きなバウムまで、商品担当者に聞きました。
(取材と文・熊坂麻美 撮影・竹之内祐幸)
今回は、常時約20種類の味を揃える定番おやつ『不揃いバウム』について。前身であるスティック型バウムのことから、個人的に好きなバウムまで、商品担当者に聞きました。
(取材と文・熊坂麻美 撮影・竹之内祐幸)

バナナ、さつまいも、紅茶、発酵バター、塩キャラメル……。素材そのものの風味を大切にした『不揃いバウム』。発売当時、画期的だったというスティック型で片手でも食べやすく、“不揃い”だからこそ実現できた、手頃な価格も魅力。
贈答用から身近なお菓子へ

——スティックタイプのバウムクーヘンといえば、無印良品のイメージが強いです。開発の背景から教えてください。
スティック型のバウムクーヘンは、1999年に発売しました。贈答用が一般的だったバウムクーヘンを、もっと日常的に楽しめる形にできないかということで、社内モニターで意見を聞いたところ、「食べやすい形がいい」「かばんに入れて持ち運べるとうれしい」という声が多く寄せられました。それで、ひとりでも気軽に食べられ、携帯もしやすいスティック型になったのです。
当時はこういったスティック型のバウムクーヘンはほとんどなく、無印良品がさきがけでした。この形を広めていくために、どんなフレーバーがいいか試行錯誤し、老若男女が想像しやすく、バウムクーヘンの風味にマッチする“バナナ”が採用されました。
当時はこういったスティック型のバウムクーヘンはほとんどなく、無印良品がさきがけでした。この形を広めていくために、どんなフレーバーがいいか試行錯誤し、老若男女が想像しやすく、バウムクーヘンの風味にマッチする“バナナ”が採用されました。
——プレーンではなく、バナナ味から始まったのは意外でした。その後、『不揃いバウム』へリニューアルしたのでしょうか。
はい。無印良品には、「素材の選択、工程の点検、包装の簡略化」という、ものづくりで大切にしている3つの視点があります。これはそのなかの「工程の点検」にあたる内容なのですが、製造プロセスを見直し、焼き色のムラや小さな凹凸も生かしたり、切り落とす両端のミミの幅を約6㎝から1.8㎝に変更するなど、廃棄を減らすリニューアルを2017年に行いました。『不揃いバウム』の「不揃い」は、見た目を無理に整えないという意味なんです。

人の手で守る、品質とおいしさ

——『不揃いバウム』として再スタートするときに、素材や味は大きく変えなかったのでしょうか。
どのフレーバーも、素材の微調整はあったとしても生地のベースは変えていません。スティック型の時代から「品質・おいしさ・手頃な価格」は一貫して大切にしている部分です。一方で、お客様の声を受けてサイズ展開は広げ、たとえば『ちいさなバウム』のような、より手軽に食べられる新しいシリーズも生まれました。
——品質やおいしさを保つためのこだわりを教えてください。
素材選びはもちろん、保管環境にも細かく気を配っています。製造工程では、ミキシングや焼成、冷却といった各段階で温度管理を徹底しています。一部の工程は機械化されていますが、焼成は最初から最後まで職人さんがつきっきりで見守り、生地の状態を見極めながら火力や時間を調整しています。こうして要所で人の手を残すことによって、品質が安定し、しっとり感のある『不揃いバウム』らしいおいしさにつながっていると思います。

朝ごはん習慣のきっかけに

——バナナバウムや発酵バターバウムといった定番から季節の味まで、フレーバーの種類がたくさんあります。2026年、「栄養・成分がとれる」シリーズも新たに登場しましたね。
定番が約15種類、季節限定品が4~5種類ほどあり、常時20種類ほどのバウムが店頭に並んでいます。「栄養・成分がとれる」シリーズは、食品開発のキーワードのひとつ「健やか」から発想を広げて商品化しました。
スティック型バウムは「朝ごはん代わりにさっと食べられる」というお客様の声が以前からありまして。そこで、朝ごはんをコンセプトに、従来品との差別化のためにも、朝に摂ると良いとされている栄養や成分を気軽に補える、新しいバウムとして開発したのです。
スティック型バウムは「朝ごはん代わりにさっと食べられる」というお客様の声が以前からありまして。そこで、朝ごはんをコンセプトに、従来品との差別化のためにも、朝に摂ると良いとされている栄養や成分を気軽に補える、新しいバウムとして開発したのです。
——その朝にとると良い栄養が、たんぱく質、食物繊維、鉄分だったのですね。味はどのように決めていったのでしょうか。
朝ごはんを想起しやすい食材をあれこれ考えながら、たんぱく質は「バナナ&ヨーグルト」と「エッグ&チーズ」、食物繊維は「豆乳&きな粉」と「トマト&バジル」に。鉄分については、市場ニーズの高いチョコ味をベースにしつつ、鉄分特有のえぐみをマスキングしてくれるオレンジと合わせました。
5種類すべてに、100gあたりたんぱく質8.5g以上、食物繊維3g以上は入っています。たんぱく質は加熱すると固まる性質があるため、入れすぎてしまうと生地が硬くなってしまうのですが、しっとり感が残るギリギリのラインを探りながら配合を調整しました。
5種類すべてに、100gあたりたんぱく質8.5g以上、食物繊維3g以上は入っています。たんぱく質は加熱すると固まる性質があるため、入れすぎてしまうと生地が硬くなってしまうのですが、しっとり感が残るギリギリのラインを探りながら配合を調整しました。
——バウム1本で、これだけ栄養がとれるのはうれしいです。移動中やデスクでも、手軽に食べられます。
通常の『不揃いバウム』より径を少し小さめにして、片手で持って食べやすいサイズにしています。味を5種類にしたのは、月曜から金曜をイメージしているからなんです。「今日はどれにしようかな」と、毎朝好きなフレーバーを選ぶ楽しさを感じてもらえたらと。今年の5月下旬から発売し、とても好評いただいています。
朝ごはんを食べない人も多いなかで、このバウムが朝食をとる習慣づけのきっかけになったらうれしいですね。無印良品には冷凍おにぎりなど、朝食向きの商品がまだまだあるので、そちらにもつながっていけばと考えています。
朝ごはんを食べない人も多いなかで、このバウムが朝食をとる習慣づけのきっかけになったらうれしいですね。無印良品には冷凍おにぎりなど、朝食向きの商品がまだまだあるので、そちらにもつながっていけばと考えています。

定番があるから“遊び”が生きる

——各地の名物グルメをもとに、バウムのアイデアを募集する「みんなでつくるバウム」も楽しい企画です。
せっかく全国に店舗があるので、スタッフもお客様も一緒になって新しいバウムを作りたいという思いから始まった企画です。ありがたいことにとても盛り上がっておりまして、今年は『りんご飴風バウム』『焼きとうもろこし風バターバウム』『黒糖サーターアンダギー風バウム』『オリーブ塩バウム』が商品化され、8月下旬から発売予定です。
こうした“お祭りごと”ができるのも、定番のバウムを長年愛していただいているからこそ。先ほどもお話した「品質・おいしさ・手頃な価格」を守り続け、香料でごまかしたり過度な味にしたりせず、素材そのものの風味を大切にしていることが、お客様に選んでいただいている一番の理由だと思っています。
こうした“お祭りごと”ができるのも、定番のバウムを長年愛していただいているからこそ。先ほどもお話した「品質・おいしさ・手頃な価格」を守り続け、香料でごまかしたり過度な味にしたりせず、素材そのものの風味を大切にしていることが、お客様に選んでいただいている一番の理由だと思っています。
——最後に、商品担当であるご自身が、特に気に入っているバウムはなんですか。
悩みますが……春限定の桜バウムですね。毎年、箱買いするくらい大好きで(笑)。ふんわり桜が香って、口に入れるたびに幸せな気持ちになります。桜バウムにはファンも多く、「定番にしてほしい」という声もあります。でも、春の訪れにときめく気持ちと一緒に味わってほしいという思いがあって、あえて季節限定のままにしています。私にとっては、もはや“春の風物詩”。登場を心待ちにする時間ごと楽しんでいます。
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