ゆらぎに寄り添う。養生日和
肌の老化を防ぐ、食事とスキンケアの工夫

2025/12/27
取材と文・山本加奈 撮影・藤井由依
こばとも皮膚科院長。医学博士。同志社大学アンチエイジングセンター研究員。日本医科大学卒業後、名古屋大学皮膚科入局。博士課程在学中に米ノースウェスタン大学に留学し、帰国後クリニック勤務を経て、2024年にこばとも皮膚科開業。専門医の観点から美容に関する正しい知識の発信を行い、『すっぴん肌が好きになる 肌トラブル大全(WAVE出版)』『キレイを育てる 美肌栄養事典(主婦の友社)』など著書多数。
食べ方を工夫して、糖化ストレスを軽減
年末年始はイベントが続く季節。暴飲暴食が重なり、気づかないうちに食習慣が乱れ、それが肌のシワやたるみにつながることも。原因となるのが「糖化ストレス」です。
糖化とは、体内のタンパク質が、過剰摂取で余った糖と結びついて劣化する現象で、老化を促進させるAGEs(終末糖化産物)を産生します。
「糖化ストレスは、運動不足をはじめ、生活習慣全般が影響しますが、やはり大きいのは食事」と皮膚科医の小林智子さん。
「スイーツなど糖質の多いものはもちろん、アルコールやタバコも糖化ストレスの原因となり、老化を進めます」
ウイスキーや焼酎は“糖質が少ないお酒”として知られていますが、「お酒の種類によって糖化の度合いが大きく変わるわけではない」と小林先生。結局、お酒を飲めば、糖化ストレスが増えるのは避けられない。
しかし、食べ方次第では、糖化ストレスを最小限に抑えることができると言います。
「ポイントは血糖値の上昇を穏やかにする“食べ方”。食事の時に野菜から食べる“ベジファースト”をはじめ、最初に食物繊維を多く含むものを食べたり、酢の物など酢を使った料理を口にしておくと、血糖値の急激な上昇を抑えられます。
ほかにも、手軽な方法として、食前にヨーグルトを飲んだり、食べるのも有効だと言われています」

また糖化を抑えるのに効果的なのが、ゆっくり味わって食べること。短時間で一気に食べると、血糖値が急上昇してしまいます。
「年末の忙しさから、つい食事をかき込みたくなる場面もありますが、よく噛んで食べることはまず、意識したいポイントです」。
日々の糖化・酸化ケアで差がつく
「“体内年齢”は見た目の印象と相関すると言われていて、美容に関心の高い方ほど、最終的にインナーケアに行き着きます。糖化ストレスは、体内年齢に大きな影響を与えるため、若々しく健康な状態を維持するためには、日々の糖化ケアが大切。
また、紫外線を浴びたり、生活習慣の乱れで発生する活性酸素が細胞を傷つけ、老化につながる酸化は、糖化と互いに影響し合い、老化を加速させるので、ダブルで予防するのがポイントです」。
低糖質でポリフェノールを豊富に含むベリー類は、抗糖化作用に加えて抗酸化作用も期待できる優秀食材。毎日の食事や間食に意識的に取り入れてみましょう。
スキンケアでは、抗酸化成分として定番の『ビタミンC』に加え、今注目されている『ナイアシンアミド』がおすすめと小林先生。

「抗シワ、保湿、くすみ改善などさまざまなはたらきが期待でき、肌質を問わず取り入れやすいと思います」。
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