ゆらぎに寄り添う。養生日和
正月明けを、軽やかに過ごす生活の知恵

2026/01/03
取材と文・山本加奈 撮影・藤井由依
こばとも皮膚科院長。医学博士。同志社大学アンチエイジングセンター研究員。日本医科大学卒業後、名古屋大学皮膚科入局。博士課程在学中に米ノースウェスタン大学に留学し、帰国後クリニック勤務を経て、2024年にこばとも皮膚科開業。専門医の観点から美容に関する正しい知識の発信を行い、『すっぴん肌が好きになる 肌トラブル大全(WAVE出版)』『キレイを育てる 美肌栄養事典(主婦の友社)』など著書多数。
お正月で乱れた生活習慣のリセット術
年が明け、心は新しい抱負で満ちていても、生活リズムが乱れて何となく体が重だるい……そんな人は少なくないはず。
寝る時間が遅くなったり、暴飲暴食や運動不足といった「生活リズムの乱れ」は、心身の健康はもちろん、肌にも影響を与えます。
お正月休みで乱れた生活リズムを整え、健やかな肌へと導くポイントは「睡眠とごく簡単な運動」と皮膚科医の小林智子さん。
「前回、肌をはじめ、老化の大きな要因として酸化(※1)と糖化(※2)を紹介しました。
実は、眠りに誘うホルモンであるメラトニンには、抗酸化、抗糖化作用があると明らかになってきていて、近年注目が集まっているんです」。
※1:紫外線や生活習慣の乱れで発生する活性酸素が細胞を傷つける現象。糖化と相互に影響しあい、老化を進める。
※2:体内のタンパク質が、過剰摂取で余った糖と結びついて劣化する現象。老化を促進させるAGEs(終末糖化産物)を産生する。
メラトニンの分泌を整えるには朝と夜の過ごし方にメリハリをつけることが大切。
「就寝前にスマートフォンや強い光を浴びると、メラトニンの分泌量は急激に減少してしまいます。夜は寝室の照明はできるだけオレンジがかったあたたかみのある電球色にし、間接照明などを使って、光量を抑えましょう。

逆に、朝はしっかりと日光を浴びることで、メラトニンの分泌リズムが整います」
入浴のタイミングも睡眠の質に影響が。
「体温が高いと深い眠りに入りにくいため、入眠の2時間前には入浴を済ませるのが理想です。かつては、夜10時から午前2時が『睡眠のゴールデンタイム』と言われていましたが、現在は入眠時の眠りの深さが睡眠の質において重要とされています」
入眠時の過ごし方だけではなく、睡眠時間にも注意が必要。
「睡眠が6時間未満になると医学的には“睡眠不足”とされ、この状態が続くと日中の血糖値が変動しやすくなるほか、メラトニン分泌の乱れにもつながり、糖化が進みやすくなることがわかっています。
食べ過ぎや飲み過ぎで、糖化、酸化が進みやすい年末年始。睡眠だけはきちんと確保するよう心がけましょう」。

ちょこちょこ動き、正月太りをリセット
睡眠に加え、正月明けのリセットに役立つのが小さな運動です。
「気合を入れて、新年からはジムに通おうと意気込む方もいるかもしれませんが、糖化防止の観点では、家事などで、細かく動き続けるというのが実は効果的」。
特に意識したいのが、血糖値が上がる食後1時間。「食べたらソファでだらだら、ではなくすぐに食器を片付ける。外食の帰りは駅で階段を使う。そんな小さな心がけで、血糖値の上昇を抑えられ、じわじわ効いてきますよ」。
家事も肌を整える時間と考えれば、重い腰が軽くなるはず。もう少し体を動かす時間をつくれそうな人は、筋肉量の多い下半身のエクササイズを取り入れるのがおすすめと小林さん。
「健康寿命を伸ばすには、週3回、20分程度の運動が推奨されています。特に下半身を動かすスクワットやランジはいいですね。ランジは骨の強化にも効果があり、冬に起こりやすい骨粗鬆症の予防にもつながります」。
続けやすい、ささいな習慣を取り入れて、軽やかに一年をスタートしましょう。
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